ヤツガタケキスミレを求めて八ヶ岳へ—III (7月20日)

<いよいよ大詰め>
「さあ、頂上迄あと数百M!」眼下の雲海を眺めた後に、山頂に目を移すと、梅雨明けの青空がまぶしかった。
前回のチャレンジ(7/5)は、赤岳に登ったが、ヤツガタケキスミレは、ちょっと早かったようだ。この日は、三連休の最後の日。「この日を逃したら、今年はもう見れない。絶対に見たい!」そんな願いが天に通じたのか、絶好の山登り日和だった。今回は、赤岳ではなく、目撃情報の多い硫黄岳に登ることにした。
ヤツガタケキスミレを求めて八ヶ岳へ—III (7月20日)_b0167256_21394944.jpg
バックパッカーの青空  桜平から夏沢峠、硫黄岳山頂ルート
Eos 5D MARKII, Fisheye15mm, f13, Av, Exp.-0.33, ISO 100

山頂では、多くの登山者は登頂で満足していたが、こちらはそうは行かない。なんとしても、ヤツガタケキスミレを写さないと。山頂に花は咲いていなかったが、硫黄岳から横岳に続く稜線の斜面では、コマクサが満開の時を迎えていた。
ヤツガタケキスミレを求めて八ヶ岳へ—III (7月20日)_b0167256_21494717.jpg
コマクサ  桜平から夏沢峠、硫黄岳山頂ルート
Eos 5D MARKII, Fisheye15mm, f6.3, Av, Exp.-0.33, ISO 640

ヤツガタケキスミレを求めて八ヶ岳へ—III (7月20日)_b0167256_21513561.jpg
コマクサ  桜平から夏沢峠、硫黄岳山頂ルート
Eos 5D MARKII, マクロ180mm, f4.0, Av, Exp.-0.33, ISO 640

シロバナコマクサも1株だけだったが、観察できた。「今日はツイテル!」気持ちも嫌がおうにも盛り上がる。

ヤツガタケキスミレを求めて八ヶ岳へ—III (7月20日)_b0167256_2156119.jpg
シロバナコマクサ  桜平から夏沢峠、硫黄岳山頂ルート
Eos 5D MARKII, マクロ180mm, f8.0, Av, Exp.-0.33, ISO 200

<遂に、ヤツガタケキスミレ、ゲット!>
 八ヶ岳では、高山植物を守る為と滑落防止の為に、登山道の両側にロープが張ってある。山頂から横岳に向かう途中に山小屋がある。この周辺まで来ると、黄色いスミレが見え始めた。「やったー!」それまでの疲れがいっぺんに吹き飛んでしまった。さっそく写真を見てみよう。
まずは、全体像。
ヤツガタケキスミレを求めて八ヶ岳へ—III (7月20日)_b0167256_22556.jpg
ヤツガタケキスミレ  硫黄岳山頂から横岳ルート
Eos 5D MARKII, マクロ180mm, f7.1, Av, Exp.-0.33, ISO 500

ヤツガタケキスミレを求めて八ヶ岳へ—III (7月20日)_b0167256_2231850.jpg
ヤツガタケキスミレ  硫黄岳山頂から横岳ルート
Eos 5D MARKII, マクロ180mm, f7.1, Av, Exp.-0.33, ISO 200

比較のため、赤岳山頂のキバナノコマノツメを並べてみた。花の形は株に寄って変化が激しいのであまり参考にならないが、ヤツガタケキスミレの方が葉の色が深く、肉厚感があり、葉の外側の距歯が明瞭、葉脈のスジが明瞭に感じられる。
ヤツガタケキスミレを求めて八ヶ岳へ—III (7月20日)_b0167256_22404390.jpg
キバナノコマノツメ  赤岳山頂
Eos 5D MARKII, マクロ180mm, f9.0, Av, Exp.-0.33, ISO 400

<キバナノコマノツメとヤツガタケキスミレは、本当に別種?>
赤岳のことを思い起こすと、赤岳山頂の東側の草地には、キバナノコマノツメが群生していた。一方、山頂付近の岩礫地帯の辺りには、ヤツガタケキスミレが群生している。非常に似た種類の花が、場所的には非常に近接して咲いているのに種が守られている。前々から、果たしてこの2つのスミレは別種なのか?という僕の疑問は、またもやギンリョウソウのように(変な表現!?)むっくりと頭をもたげて来た。
もしかしたら、キバナノコマノツメの種を八ヶ岳山頂の岩礫地帯に撒いてやったら、ヤツガタケキスミレになるんではないだろうか?両者の表現型の差はわずかにしか過ぎないので、遺伝子の差というよりは、遺伝子のエピジェネティックな修飾の有無による差と考えた方が合点がいきやすい。

<エピローグ>
こうして、念願のヤツガタケキスミレも撮影でき、大いに満足したが、実は赤岳で2輪だけ岩場の草地に咲いていた。ロープの奥の方だったので、大きく写せず、キバナノコマノツメと思い込んでいた。拡大しても確信はないが、ヤツガタケキスミレだったのでは?と思われる。結論は来年に持ち越しだ。これでまた、来年八ヶ岳に登る言い訳ができた。良かった!
もうひとつ。硫黄岳の山頂は、天気に恵まれたものの、メチャすごい風で寒かった。山小屋でカップラーメンでも食べようと思ってズボンのポケットを探ったが、何もない。ようやく、1銭も持って来なかったことに気づいた。
山に登る時、財布は持たなくとも英世くんは連れて行こう。
(次号に続く)
by bjynp | 2009-07-24 23:06 | スミレ野


ネイチャー(花、風景、昆虫など)の写真、エッセイを載せてます。春はスミレ追いかけてます。アップルがサービスを中止してオリジナルサイトNature Worldを更新できなくなったので、こちらに隠れ野、開きました。


by アッキーマッキー

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

フォロー中のブログ

野草風薫
花鳥風景
ここから
NATURE DIARY
自然万華鏡 Blog v...
花景色-K.W.C. P...
Deep Season 
山野草の想い
風街角
pode ser um ...
野山に遊ぶ
信濃路花散歩

外部リンク

最新のトラックバック

ライフログ

以前の記事

2020年 08月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月

カテゴリ

全体
スミレ野
お花野
生き物
風景野
昆虫野
野鳥
お散歩
旅野
バー野
星景
野生動物

検索

タグ

その他のジャンル

ブログパーツ

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

自然・生物
カメラ

画像一覧